我が家のタダタケ大好きっ子の娘がいよいよ成人となる日が訪れた。2004年に誕生し、ブログを始めたときは小5だった娘。感無量である。初めて娘を抱っこしたときの重さや深夜の帰宅後、寝室に直行しすやすや眠る娘の呼吸をいつまでも見ていたことなどが昨日のことのように思い ...
タグ:多田武彦男声合唱組曲集(3)
リンク集
〔作曲家〕多田武彦(1930‐2017)多田武彦〔タダタケ〕データベースhttps://seesaawiki.jp/w/chorus_mania/ 作曲家多田武彦及び全組曲の情報については、こちらのサイトが大変参考になります。男声合唱団 タダタケを歌う会https://tadatakesingers.wixsite.com/tadatake筆者 ...
丸山薫から見た三好達治
最近なんやかやと忙しかったので、新しい本を仕入れることをすっかり忘れていた。そんな折、食材の買い出しに訪れた近所のショッピングモールで古本市が開かれていたのでつい立ち寄ってしまう。妻「・・・買い出しは?(怒)」父「スンマセン、15分だけ。(礼)」妻「(見) ...
タダタケの原体験その弐~詩集のことなど~
男声合唱界隈では知る人ぞ知るサイト多田武彦〔タダタケ〕データベースが実に面白い。このサイトを訪れる度に新たな発見があるのが嬉しい。 さて、このサイトには楽譜一覧のページがあるが、その中でも特に思い出深い楽譜がある。多田武彦 男声合唱組曲(3)この曲集には、 ...
詩人の激動の人生を振り返る~三好達治『わがふるき日のうた』など~
三好達治の詩人としての出世作「測量船」(1930年)から1945年をはさんで「砂の砦」(1946年)まで。激動の人生から作曲された7つの詩。同志社グリークラブによる怒涛の音の洪水にまいど飲み込まれて酔いつぶれる。合唱名曲コレクション29わがふるき日のうた(東芝EMI)おわ ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「雪はふる」の風景
連日の暑さにすっかりまいっている。こう暑いと何もする気がおきない。こんなときには、手持ちの情報でやりくりするに限る。本ブログを書くきっかけとなった多田武彦『わがふるき日のうた』の終曲。いちど拙ブログでも取り上げたことがある。三好達治『わがふるき日のうた』 ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の 「郷愁」のこと
多田武彦の男声合唱組曲『わがふるき日のうた』の中でも5曲目の「郷愁」は、屈指の名曲であると思う。「郷愁」 三好達治蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬を越え、午後の街角に海を見る……。私は壁に海を聽く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭れる。隣りの部屋で ...
三好達治『追憶の窓』の中の「雨後」のことその弐
先日、久しぶりに信州の山を間近にみたせいか、多田武彦のこの曲を久しぶりに聴きたくなった。「雨後」 三好達治一つ また一つ雲は山を離れ夕暮れの空に浮かぶ雨の後山は新緑の襟を正し膝を交えて並んでゐる峡の奥 杉の林に発電所の燈がともるさうして後ろを顧みれば雲の ...
人はみな旅人である。しかし時には原点に立ち戻る勇気も必要ということその参
「かへる日もなき」 三好達治かへる日もなきいにしへをこはつゆ艸の花のいろはるかなるものみな青し海の青はた空の青(『花筐』青磁社/1944年)多田武彦作曲『わがふるき日のうた』の中の終曲「雪はふる」の2年前の風景。「雪はふる」 三好達治海にもゆかな野にゆ ...
三好達治『追憶の窓』の中の もうひとつの「村」のこと
父「この曲集は 1曲目『村』、2曲目『村』と 同じ題名の詩が続くんだよ、 面白いねえ、三好達治は。」妻「で、今回はどっちよ。」1曲目の『村』である。2曲目の『村』については拙ブログで取り上げたことがある。三好達治『追憶の窓』の中の「村」のこと (再掲)19 ...
三好達治『追憶の窓』の中の「志おとろへし日は」のこと
「志おとろへし日は」 三好達治こころざしおとろへし日はいかにせましな手にふるき筆をとりもちあたらしき紙をくりのべとほき日のうたのひとふし情感のうせしなきがらしたためつかつは誦しつかかる日の日のくるるまでこころざしおとろへし日はいかにせましな冬の日の黄 ...
三好達治『わがふるき日のうた』の別の風景
三好達治についての本を探していたら、次の本にたどり着いた。『三好達治』(1979年/筑摩書房)正確に言うとこういう本がある、という情報でしたが(笑)今まで数々のお世話になっている日本最大の図書館検索カーリル でさえも検索不可能とは、どんだけか~!と半ばあきらめ ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「雪はふる」のことの補足
『万葉の人びと』犬養孝(新潮文庫/1981年)誰もが知っている万葉集の歌についてわかりやすく、解説したNHKの放送の原稿をもとにした本。おお、そんな風景や情が隠れていたのか。と目から鱗の本であった。で、再度まっさらな気持ちでよみなおしてみる。「雪はふる」 ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「湖水」のこと
【その1】組曲第Ⅱ曲。「湖水」 三好達治この湖水で人が死んだのだそれであんなにたくさん舟が出てゐるのだ葦と藻草の どこに死骸はかくれてしまつたのかそれを見出した合圖の笛はまだ鳴らない風が吹いて 水を切る艪の音櫂の音風が吹いて 草の根や蟹の匂ひがするああ ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「鐘なりぬ」のこと
【その1】組曲第Ⅵ曲。 「鐘鳴りぬ」 三好達治聽け鐘鳴りぬ聽けつねならぬ鐘鳴りいでぬかの鐘鳴りぬいざわれはゆかんおもひまうけぬ日の空にひびきわたらふ鐘の音を鶏鳴か五暁かしらずわれはゆかん さあれゆめゆるがせに聽くべからねばわれはゆかん牧人の鞭にしたが ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「雪はふる」のこと
いちど本ブログでも書いていますが別の切り口で。「そうか、きみはただただただたけだけだっけ?その弐」 本ブログを書くきっかけとなった多田武彦『わがふるき日のうた』の終曲。「雪はふる」 三好達治海にもゆかな野にゆかなかへるべもなき身となりぬすぎこし方なかへ ...
三好達治『追憶の窓』の中の「毀(こは)れた窓」のこと
「視線」よりも「まなざし」という言葉が好きだ。十代は混声合唱組曲『季節へのまなざし』に出逢い、夢中になった。二十代は男声合唱組曲『やさしい魚』に出逢い、夢中になった。特に三曲目「天使」。♪まなざしだけがみえるめのかたちでなく~。のうた。♭7つのCes-Durとい ...
三好達治『追憶の窓』の中の「昨日はどこにもありません」の補足
三好達治は京都にあった第三高等学校時代にニーチェ、ショーペンハウエルツルゲーネフを読み、萩原朔太郎「月に吠える」に傾倒してからは、室生犀星、堀口大學も読んだとのこと。傾倒すればおのずとその詩作に影響がでるのも当然のこと。室生犀星「春の寺」の本歌取り三好達 ...
三好達治『海に寄せる歌』の中の「砂上」のこと
我が家では、まだまだ回文が流行っている。小学生相手の言葉遊びには有効かなと思っているので、よしとしたい。今日は休日出勤の振り替えで仕事が休みだから仕事のことを忘れてぱーっと男声合唱を聴こうか。父「言うほどに、敵があがきて 二度包囲。」父「血眼な街。」父 ...
三好達治『わがふるき日のうた』の音源のこと
上野の東京文化会館4F音楽資料室に通い詰めてはや1年あまり。http://www.t-bunka.jp/library/ そこにしげしげとかよいつめるおっさんがおる。男声合唱(9割が多田武彦)のCDとLPをむさぼるように視聴するあやしいおっさん。しかも視聴し終わったら、兎のような真っ赤な眼を ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「甃のうへ」の補足
本ブログの別の記事で、書いたことの補足。 室生犀星の『青き魚を釣る人』の「春の寺」(1923年/)の意識的な「本歌取り」だと 指摘したのは大岡信と書いた。「本歌取り」についは学研全訳古語辞典、などを引いてみると「本歌取り」和歌・連歌(れんが)の表現技法の一つ。 ...
三好達治『追憶の窓』の中の「昨日はどこにもありません」のこと
また帰ってくる。達治に帰ってくる。多田武彦<公認サイト>よりhttp://www.ric.hi-ho.ne.jp/neo-rkato/yaro/20140208tadatake_ryakureki.html 多田武彦は、映画監督を目指していたことも周知の事実である。だからだろうか多田武彦の作品には、映像のイメージが浮かんでくる ...
三好達治『追憶の窓』の中の「雨後」のこと
アンコールピースとして登山家の愛好歌としてこよなく愛されるこの曲について。「雨後」 三好達治一つ また一つ雲は山を離れ夕暮れの空に浮かぶ雨の後山は新緑の襟を正し膝を交えて並んでゐる峡の奥 杉の林に発電所の燈がともるさうして後ろを顧みれば雲の切れ目に 鹿島槍 ...
三好達治『海に寄せる歌』の中の「ある橋上にて」のこと
最後、バーン!と大団円で終わる大迫力の曲集ももちろん大好き。また、しみじみと幕をとじる曲集ももちろん大好き。『海に寄せる歌』の終曲。様々な海の風景、物語が6曲れた展開されたあと、穏やかな海の風景がひろがる。「ある橋上にて」 三好達治 十日くもりてひと日 ...
三好達治『わがふるき日のうた』の中の「甃のうへ」のこと
多田武彦作曲「わがふるき日のうた」の中の詩。三好達治の詩の中でももっとも有名なもののひとつで高校の国語の教科書にも頻出の詩、第1曲目「甃(いし)のうへ」にまつわる7つのポイント。(大学受験には出そうもないですが。)「甃のうへ」 三好達治あはれ花びらな ...
三好達治『追憶の窓』のこと
多田武彦が三好達治の詩にいきなり「ガッと」取り組んでほぼ同時期に書き上げた3つの組曲がある。『わがふるき日のうた』『海に寄せる歌』『追憶の窓』である。どれも素晴らしい出来なのだが、『追憶の窓』については、3曲目の「雨後」はアンコールピースとして有名であるも ...
同じモチーフに見る津村信夫と三好達治の個性
多田武彦の作曲した『父のいる庭』(詩:津村信夫)『海に寄せる歌』(詩:三好達治)にも、娘が生まれた感慨を詠んだ詩がそれぞれ入っています。「早春」 津村信夫淺い春が好きだつた──死んだ父の口癖のそんな季節の訪れが私に近頃では早く來るひと月ばかり早く來る藪 ...
そうか、きみはただただただたけだけだったっけ?その弐。三好達治『わがふるき日のうた』のこと
そうか、君は只々タダタケだけだったっけ?その壱のつづき。 ●できれば、演奏の際にはここで少しでも「間」をあけてほしいですね。ハンカチで汗をぬぐうだけで、涙を拭いたと同じ効果があると思いませんか。聴衆も張りつめた息をはく「間」になりますね。「雪はふる」 ...
そうか、きみはただただただたけだけだったっけ?その壱。三好達治『わがふるき日のうた』のこと
そうか、君は只々タダタケだけだったっけ?僕の男声合唱人生の中で、胸を打つ物語が、歌詞として取り上げられた近代詩の中にある。うたをうたうことの原点となるこれらのものは、つたなき僕の人生の中で、何度も僕の人生を救った。そしてこれからも救うだろう。今回Kさんとい ...