カテゴリ:記事 > 立原道造のはなし

諸般の事情により、拙ブログを無期限休止すると宣言してからはや半月。満を持して戻ってまいりました。といっても、不定期連載のペースは変わりませんが。読者の皆様には、引き続きのご贔屓を心よりお願い致します。さて、先日11年ぶりに大変お世話になった昔の職場の上司に ...

1月21日(日)に迫っている当団のコンサート。年末に敢行した自宅単独音確認合宿のおかげで、一筋の光がみえてきた気がする。詳しくは、拙ブログ記事を。 演奏する2つの組曲のうちの多田武彦作曲『優しき歌』は全5曲。どれもみなわが胸をうつ音楽に溢れている。・・・しかし ...

『ソネット集』については拙ブログでも取り上げたことがあります。男声合唱団タダタケを歌う会のコンサート「第伍」のこと 多田武彦の立原道造『ソネット集』を男声合唱団タダタケを歌う会で髙坂先生の情熱溢れる棒で歌うという僥倖に恵まれたので、続きの『ソネット集・第二 ...

立原道造『優しき歌』の曲集で取り上げるいよいよ最後の1曲である。「落葉林で」   立原道造 あのやうにあの雲が 赤く光のなかで死に絶へて行つた私は 身を凭せているおまへは だまつて 脊を向けてゐるごらん かへりおくれた鳥が一羽 低く飛んでゐる私らに 一日が ...

「さびしき野辺」   立原道造いま だれかが 私に花の名を ささやいて行つた私の耳に 風が それを告げた追憶の日のやうにいま だれかが しづかに身をおこす 私のそばにもつれ飛ぶ ちひさい蝶らに手をさしのべるやうにああ しかし となぜ私は いふのだらうその ...

「みまかれる美しきひとに」   立原道造まなかひに幾たびか立ちもとほつたかげはうつし世に まぼろしとなつて忘れられた見知らぬ土地に 林檎の花のにほふ頃見おぼえのない とほい星夜の星空の下で、その空に夏と春の交代が慌しくはなかつたか。――嘗てあなたのほほゑ ...

「また落葉林で」   立原道造いつの間に もう秋! 昨日は夏だつた……おだやかな陽氣な陽ざしが 林のなかに ざわめいてゐるひとところ 草の葉のゆれるあたりにおまへが私のところからかえつて行つたときにあのあたりには うすい紫の花が咲いていたそしていま おま ...

ふと手に取った詩専門の雑誌がある。『現代詩手帖』2014年10月号。偶然目に留まったのが特集「立原道造-生誕百年」である。最近、多田武彦&立原道造に縁があるなあと。その中で特に印象に残ったのがこの「立原道造の詩と空間」小池昌代氏の文章である。要点は次の通り。● ...

さて、若き詩人立原道造である。組曲1曲目の「爽やかな五月に」。筆者は高校、大学と混声でのびのびと育まれたので(笑)どうしても小林秀雄の曲を思い出してしまうが。ここでの話題は男声合唱の多田武彦版でよろしくお願いします。勿論どちらも、それぞれの良さがありどちら ...

おお、つひに私もこの歌と交わるときが来たのだ。まだ筆者が青年時代、この組曲の演奏を当時のガールフレンドと座って眺めてゐたつけが・・・。今は死語か、「タダタケデデート」(笑)その彼女も多田武彦が大好きだったのよ。もう時効だから、許して、と。妻「フォローにな ...

「雲の祭日」   立原道造羊の雲の過ぎるとき蒸氣の雲が飛ぶ毎に空よ おまえの散らすのは白い しイろい絮(わた)の列 帆の雲とオルガンの雲 椅子の雲きえぎえに浮いてゐるのは刷毛の雲空の雲……雲の空よ 青空よひねもすしイろい波の群 ささへもなしに 薔薇紅色に ...

無理言って練習に参加させていただいてオンステさせていただいた。男声合唱団タダタケを歌う会コンサート第伍。20161015。於 石橋メモリアルホール。 男声合唱団タダタケを歌う会 コンサート第伍の概要はこちら(演奏会は終了しました。念のため。)無事に終了しました。ほ ...

いよいよ男声合唱団タダタケを歌う会コンサート「第伍」が10/15(土)に迫ってきた。本番までの約20日間、練習に打ち込み、歌に身をゆだねるために「熟成期間」という名の本ブログ更新停止期間に突入し、ブログ更新の誘惑を絶ちます。ちなみに酒は断ちません(笑)。【 ...

目下絶賛練習中です。多田武彦「ソネット集」。その中で頭をはなれないこの曲。「旅人の夜の歌」 FRAULEIN A. MUROHU GEWIDMET   立原道造降りすさんむでゐるのは つめたい雨。私の手にした提灯はやうやく昏く足もとをてらしてゐる、歩けば歩けば夜は限りなくとほい。私 ...

まずは達治。「郷愁」    三好達治 蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角に海を見る……。私は壁に海を聽く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭れる。隣りの部屋で二時が打つ。「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。――海よ、僕ら ...

「汽車の歌」   立原道造上り列車は三日月ぐらゐの小さな明りを一列につないであれはくたびれた足どりを一しやう懸命だつたそのあと暗くなつてから下りはキラキラと走つてしまつた上りの息は僕たちをすこしだけかなしく心配にした あの小刻みな喘ぎ(「立原道造全集第二 ...

立原道造の世界。独断のそしりをうけることを覚悟しつつ素人なりの感覚で受け止めると、「SEEK&SEEK&SEEK」「風の中の果てなきこがれ」の詩人なのだなあと感じている。多田武彦「ソネット集」を歌い始めて、改めて思った。筆者の立原道造の詩の合唱曲との出会 ...

練習曲として、多田武彦の男声合唱組曲『ソネット集・二』から「夢みたものは…」を歌ったことがある。「夢みたものは…」    立原道造夢みたものは ひとつの幸福ねがつたものは ひとつの愛山なみのあちらにも しづかな村がある明るい日曜日の 青い空がある日傘をさ ...

↑このページのトップヘ