以前拙ブログでも書いたが、
「人事は棺を蓋(おお)うて定まる。
~人間の真価は、死んでから決まる。の意~」
(『晋書/劉毅伝』から)
ということを座右の銘としている者としては、
没後七十年たっていない詩人は
まだ取り上げていない。

ちなみに、まだ機が熟していないが
いつかは書いてみたい曲集たちがこちら。
草野心平
『草野心平の詩から』『蛙』『北斗の海』
伊藤整
『雪明りの路』『吹雪の街を』
堀口大學
『雪国にて』
田中冬二
『北陸にて』
などなど。

くしくもこのうち
草野心平『北斗の海』から2曲を
男声合唱団タダタケを歌う会
歌うことになった。

それが「海」と「窓」である。
この2曲の情報については
こちらのHPが参考になります。
多田武彦〔タダタケ〕データベース

この2曲を歌う際に、
草野心平の詩の世界のスケールの大きさに
圧倒されそうになる。

そんなときに、
小説家、翻訳家でもある豊島与志雄の
『「草野心平詩集」解説』の一節が
草野心平における海の世界観について
感じることの一助になるかもしれない。
 (前略)
 海は天と照応する。
 自然のうちで海こそは、心平さんが最も心惹かるるものであろう。
心平さんが地の一隅を睥睨する時、その瞳には、地平を超えて、
遙かに海が映らなかったであろうか。
 海は流転きわまりなく、ことごとに色を変え、ことごとに相貌を変え、
千古を通じて新らしく、永劫を通じて古く、非情のうちにすべてを呑みつくして、
万鈞の重みに静まり返ってるのである。
 その海が、心平さんの心眼の中にあって、そして心平さんは機会ある毎に、
方々の個々の海を肉眼で見たがる。見てはそれを歌う。
日本海を歌い、エリモ岬を歌い、オホーツク海を歌い、ベーリング海峡を歌い、
タスカローラ海溝の底にもぐってまで歌う。
 (後略)

豊島与志雄(1967年)豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
青空文庫11月10日
https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42587_22912.html
(アクセス日:2021/8/28)
海と天。
富士山と蛙。


今回取り上げる
草野心平の6曲が、
全て繋がりをもって
私の前に降り注いできたようで、
ぼくは思わずくしゃみをした。
なんだか
楽しくなってきたぞ。

おわり。

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男声合唱団タダタケを歌う会
コンサート「第㭭」
2021年10月16日(土)13:30開場 14:00開演
於 光が丘IMAホール(都営地下鉄大江戸線光が丘駅)
曲目
第1ステージ 草野心平×多田武彦【草野心平】
1.「作品第肆」…『富士山』
2.「雨」…『草野心平の詩から』
3.「桂離宮竹林の夜」…『蛙』
4.「窓」…『北斗の海』
5.「宇宙線驟雨の中で」…『草野心平の詩から・第三』

第2ステージ タダタケ・ア・ラ・カルト

1.「秋の恋びと」…『吹雪の街を』【伊藤整】
2.「海」…『北斗の海』【草野心平】
3.「郷愁」…『わがふるき日のうた』【三好達治】
4.「燈台の光を見つつ」…『燈台の光を見つつ』【伊東静雄】
5.「春の寺」…『叙情小曲集』【室生犀星】

第3ステージ 男声合唱組曲『父のいる庭』【津村信夫】 
1.「父が庭にいる歌」
2.「太郎」
3.「早春」
4.「紀の国」
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フライヤーはこちら。
tadatake2021
男声合唱団タダタケを歌う会HP



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