前の日から徹夜して
当日の午前中に何とか
仕事を終わらせて
ふらふらになって
我にかえって
会場にたどり着いた。

男声合唱団タダタケを歌う会
コンサート第漆。20190119。
於 石橋メモリアルホール。
 
駆けつけました、
タダタケが聴きたくて。

いつもなら、
特定の団体の演奏会レポートは
書かない(書けない)主義の
筆者であるが、
今回は気のむくままに感想などを
書かせていただこうと
思った次第です。

何たって、
アンコール前の髙坂先生の
あいさつで、
次回の演奏会は
草野心平「富士山」を
取り上げると、
明言されたのですから、
タダタケの会を
休団している場合ではない。

仕事の段取りなど何とでもなる、
否、人生の重要度はよ~く考えよう。
そんなわけで、若干の決意を秘めつつ
演奏会レポートです。

===================
第1ステージ
男声合唱組曲『蛙』
作詩:草野心平 指揮:髙坂 徹

「桂離宮竹林の夜」
「黒い蛙」
「五匹のかえる」
「蛇祭り行進」

まさか平成最後のこの冬に、
生で『蛙』が聴けるとは
思ってもみなかったです。
出だしから、重厚なベース系の
念仏?祝詞?のような
響きに乗っかって、
テナー系がばしばし音を決めてくる。

鳥肌が立ちましたわ、まじで。

♪和讃は竹林にみちあふれ~からの
タダタケらしいハモリが流石ですね。

2曲目の「黒い蛙」。
風のうわさで
あの伝説の男声合唱団東鶴の演奏で
『追憶の窓』の「毀れた窓」の
ベースソロをやられた方が
このソロを勝ち取ったときいて、
楽しみにしておりました。

・・・もの凄かったです。
ああ、このノリを出したかったんだ
タダタケは。という気持ちで
ぞくぞくしました。

周りのご婦人方は、
「この曲は、この先どうなるのか???」
と息をのんでおられました。
3曲目と4曲目の歌いこみ方、
「蛙」の世界観、
髙坂先生、流石です。

第2ステージ
タダタケ・ア・ラカルト

「冬の長門峡」作詩:中原中也
 指揮:小池由幸
「信濃」作詩:室生犀星
 指揮:小林昌司
「ふるさとにて」作詩:田中冬二
 指揮:若井瞭
「あらせいとう」作詩:北原白秋
 指揮:吉澤祐介
「宮城野ぶみ」作詩:堀口大學
 指揮:小池由幸

毎回楽しみなアラカルト。
今回も素敵な曲ばかりでした。

「冬の長門峡」。
やがても蜜柑のごとき夕陽、
欄簡にこぼれたり。


中原中也の詩の世界が、
初めて理解できました。

ああ、わが愛読書の福永武彦「草の花」

オリオンの星座が
(中略)
僕の目蓋から滴り落ちた。

で、わかっていたはずなのに。
うかつだぞ、自分。

「信濃」。
小林さんの指揮で、
様々な雪の表情が展開されました。
室生犀星というと、どうしても
北原白秋とのつながりが
思い起こされてしまう。
しかしながら、何気ない詩と旋律の中に
詩人と作曲者の慈愛に満ち満ちた
優しさに溢れた名演でした。

「ふるさとにて」。
若井さんの指揮で、
しみじみと合唱団が歌い上げる。
ソロも素敵なタダタケ節で素敵。
しかしソロで最高音がラ♭って・・・。
すごい。

筆者の所持している詩集では、
この曲の詩の最後に、
次の言葉が添えてある。

少年の日郷土越中にて

田中冬二は福島市の生まれ、
とのことなので
これは父の郷土のことのようです。
少年の日の思い出を歌った佳曲。
ほっこりしました。

「あらせいとう」。
吉澤さんの指揮で、タダタケファンなら
一度は歌ったことのあるであろう
名曲を聴かせました。
知っている曲は、
つい指揮に見入ってしまうが、
明確な指示と、曲への温かいまなざしで
白秋のつらい恋の表情を
ばっちり表現されていました。
しみじみ。

「宮城野ぶみ」。
小池さんの指揮で、パート間のメロディを
受け渡していく、タダタケらしい曲を、
がっつり聞かせました。

ここで15分間の休憩。
こっそりトイレにいき、
真っ赤な眼を洗い流して、と。

第3ステージ
男声合唱組曲『草野心平の詩から』
作詩:草野心平 指揮:髙坂 徹

「石家荘にて」
「天」
「金魚」
「雨」
「さくら散る」

『蛙』の余韻が残ってか、
髙坂先生の曲の作り込みが一段と
熱を帯びて、白熱してきました。

4曲目の「雨」。
タダタケの会の
テナーソロといえば、あの方。
2階席まで、びんびん響き渡る声。
流石です。
5曲目の「さくら散る」。
あの難曲を、がっつりと
聴かせて頂きました。
胸が熱くなります。

アンコール
「雨後」作詩:三好達治 指揮:髙坂 徹

発電所の燈がともる

このフレーズを聴くたびに
胸が熱くなります。

大変素敵な演奏会でした。
やっぱり、タダタケはいいなあ。

おわり。



にほんブログ村 音楽ブログへ 
にほんブログ村