「渡り鳥」
   北原白秋

あの影は渡り鳥、
あの耀きは雪、
遠ければ遠いほど空は青うて、
高ければ高いほど脈立つ山よ、
ああ、乗鞍嶽、
あの影は渡り鳥。
(『水墨集』/アルス/1923年)

先日のタダタケをうたう会の演奏会での
タダタケ・ア・ラカルトステージで
演奏する機会に恵まれた曲である。

北原白秋の詩は、
ぎりぎりまで言葉を絞り、
多田武彦の歌は
様々な表情を見せ。

もう、のめりこむ。のめりこむ。

ちなみに、
水墨集の本はこちらでみることができる。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/979220
冒頭の「序に代へて」に
白秋の考える詩について、
丁寧に書かれていて、
歌い手としても大いに参考になる。

芸術雑誌『詩と音楽』上において
詩や民謡の本質について
民衆詩派と激しい論争をした直後に
出された詩集『水墨集』というのも
うなづける気がした。

ところで、乗鞍といえば、
筆者が若かりし頃、
乗鞍高原にあるとあるペンションで
住み込みのバイトをしていた思い出の地。

どこまでも青い空や静かな山々の連なり。
冬はスキーも楽しめる。温泉もある。

そんな青春の甘酸っぱい思い出を
かみしめながら
詩に出てくる渡り鳥について調べてみた。

http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/sangaku/?p=3450
で、白樺峠「タカの渡り」について
詳しい解説がある。
9月ごろの風景のようですが、
タカの渡り鳥と、乗鞍岳が
見ることができるとのこと。
そして、
乗鞍岳には万年雪で有名な
大雪渓の大存在。

バイトの合間をぬって
夏に、麓の乗鞍高原から
乗鞍岳の山頂付近までMTBアタックを
2時間かけて挑戦したことがある。
涙も汗でぼろぼろになったときにみた
大雪渓。圧巻だった。
また、
乗鞍高原のペンションで
仕事上がりに入った川べりの
露天風呂でみた満天の星も
最高の思い出であった。
女子大生のバイトさんも
沢山きてて、仕事のあと
みんなで飲んで盛り上がったねぇ。
(わたしは遠い眼をしてゐる)

妻「おい、随分楽しそうな回想じゃないか。」
娘「大学時代の古い写真、
  いつまで大事にとってるの?」
夫「あ、いや青春の思い出は
  デジタル化なんてできな・・・」
妻「あんたの顔にも
  雪のような白い輝きを加えてやろうか。」

月の光のこぼれるやうに おまへの頬に
溢れた 涙の大きな粒が
すぢを曳いたとて
私は どうして それをささへよう!
おまへは 私を だまらせた……

夫「さすが先輩、タダタケコンサート第陸で
  客席で号泣していただけあって、よく
  詩を覚えてらっしゃる。」

おわり。

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