三好達治『鳥の歌』の旅も
いよいよ大詰め。
「鷲」
三好達治
三好達治
ああこのきらら雲
高き日を
越路より信濃のかたへ
鷲一羽飛びゆくを見る
高く小さく
ああなほ高く小さく
ひとり雄々しく
かがやきて
眞一文字に
飛びゆくを見る
かくして一羽の鷲は
路上に疲れかなしめる者
世に老いし者とは
つひにかかはりもなく
『日光月光集』/高桐書院/1947年)
もうこの詩以外、
やぶれかぶれ!みたいな
詩だらけの詩集。
涙なしには歌えません。
自分に気持ちの余裕があるときに
紐解きたいが、
絶望の淵にあっても
このような詩を書くとは、
恐れ入る。
この詩集の発表後
2年後の1949年には
2年後の1949年には
師匠萩原朔太郎の思い出の地
世田谷区代田に移る。その
「三好達治第二期」の終わりに
ふさわしい詩集。
このたび
一緒に歌わせていただいた
男声合唱団タダタケを歌う会
コンサートの第伍。
1ステ:三好達治「鳥の歌」
3ステ:立原道造「ソネット集」
立原道造を見出し、
目をかけた三好達治。
あふれ出る才能を
これから、というときに
旅だってしまった
立原道造。
二人の詩の間に流れた
「鳥」「愛と別れ」そして「風」。
絶妙なステージング。
髙坂先生の冴えわたる指揮と
それを支えた
アンサンブルリーダー
小池さんと下河原さん。
そしてタダタケを
心より愛するメンバー。
本番では確かに
流れる風と
流れる音楽を
感じることができました。
最高でした。
旅のひとつの区切りとして
最後にひとつ紹介。
「暮春嘆息」
-立原道造君を憶ふ-
三好達治
人が 詩人として
生涯ををはるためには
生涯ををはるためには
君のやうに聡明に 清純に
純潔に生きなければならなかつた
そうして君のやうに また
早く死ななければ!
(『四季第47号
立原道造追悼号/1939年7月)
私の旅はまだまだ続くよどこまでも。
いつまでも。
でも寂しくなんかないさ。
歌と詩と歌の友がゐるから。
おわり。
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