「鴉」
  三好達治
 
靜かな村の街道を
筧が横に越えてゐる
それに一羽の鴉がとまつて
木洩れ陽の中に
空を仰ぎ 地を眺め
私がその下を通るとき
ある微妙な均衡の上に
翼を戢めて 秤のやうに搖れてゐた
(『南窗集』椎の木社/1932年)

鴉(からす)は冬の季語。
鳶と鴉はライバルで、
会えばけんかになると、
家の国語辞典にのっていました。

この詩集を
19歳の立原道造が愛読し、
四行詩を書く
きっかけとなったとのこと。
しかしながら
1934年には道造は十四行詩に
移行してしまうが。
自分のスタイルを見つけてからの
道造の活躍ぶりは
周知のとおり。

ゆったりとした
Bassソロが終わった後の
「♪木洩れ陽のなかに~」
からエンディングまでの
ハーモニーは、
涙さえも昇華されたような
静謐さにあふれていた。

おわり。

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