読み疲れた時に、 ほっと一息の時間。


まだまだ、娘のなかでは
「究極の選択」が
流行っているらしい。
父の鉄道とうどんと多田武彦
好きをよく知る娘の問題から。

娘「父が一番好きな
  日本一上手な男声合唱団の
  多田武彦プログラムの
  野外コンサートのチケットと、
  結構上手な
  男声合唱団の
  多田武彦プログラムの
  空調完備のホールでの
  コンサートのチケット。
  もらうならどっち。」


またしても
悪魔のほほえみである。


しかし大事な問題であるがゆえに
ここでひるんでは男がすたる。

乗り越える壁が大きいほど
よいのである。


父「1.25秒で即決じゃ。
  室内コンサート。
  いい音で聴きたいから。」
娘「そんなもんかなあ。」
父「ただーし、
  野外コンサートが
  ご当地ソングを
  ご当地で
  歌う、となると
  話ちがってくる!」

娘「そのこころは。」

父「想像してみたまえ。
  柳河の水郷の
  船の上での
  『柳川風俗詩』。
  
  真冬の余市から忍路、
  小樽の猛吹雪の中での
  『雪明りの路』。
  『吹雪の街を』。
  
  鮪を食べながらの
  三崎の漁港での
  『三崎のうた』。
  『三崎のうた・第二』。

  最高だと思わんか?」

娘「そして、蓮の葉の上で
  『蛙』を聴く、とか?
  ふぁふぁーとしたり
  時々ぴょーんと
  かえるが飛んだりして・」
父「こりららるびだ
  びるだあやあ・・・
  絶対行く!!」
妻「あんたは、
  どこかに行くと
  決めた1.25秒後には
  時刻表を紐解いてるな。
  『蛙』だけに京都か?」

父「どこか桂離宮で
  コンサートの
  企画しないかなあ、
  ムフフ。」
娘「結局、時刻表を
  みたいだけなんだね。」


ほんに、ほんに・・・。

おわり。

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