「枕上口占」
   三好達治

私の詩は
一つの着手であればいい

私の家は
毀れやすい家でいい

ひと日ひと日に 失はれる
ああこの旅の つれづれの

私の詩は
三日の間もてばいい

昨日と今日と明日(あす)と
ただその片見であればいい

(『艸千里』1939年7月)

達治が小田原に転居したのは、
同年2月。
「測量船」で華々しく
文壇にデビューするも
なかなか大成できなかった
達治であるが、
転居を機に
南国の穏やかな気候に
慰められ、詩人として
大きく跳躍せんとする
時期の発表の詩。

おわり。

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