同じモチーフに見る中原中也と三好達治の個性 2016年02月17日 11:31 三好達治「わがふるき日のうた」に登場する「木兎(みみずく)」。同じモチーフながら詩人の個性がでる印象的な2つの詩を味わいました。「木兎」 三好達治木兎が鳴いてゐるああまた木兎が鳴いてゐる古い歌聽き慣れた昔の歌お前の歌を聽くために私は都にかへつてきたのか……さうだ私はいま私の心にさう答へる十年の月日がたったその間に 私は何をしてきたか私のしてきたことといへばさて何だらう……一つ一つ 私は希望をうしなつたただそれだけ木兎が鳴いてゐるああまた木兎が鳴いてゐる昔の聲で昔の歌を歌つてゐるそれでは私も お前の眞似をするとしようすこしばかり歳をとつた この木兎もさ(詩集『一點鐘』/1941年/創元社)=================== 「帰郷」 中原中也 柱も庭も乾いてゐる今日は好い天気だ 縁の下では蜘蛛の巣が 心細さうに揺れてゐる山では枯木も息を吐く あゝ今日は好い天気だ 路傍の草影が あどけない愁みをする これが私の故里だ さやかに風も吹いてゐる 心置なく泣かれよと 年増婦の低い声もする あゝ おまへはなにをして来たのだと……吹き来る風が私に云ふ(『山羊の歌』/ 文圃堂/ 1934年)====================・・・・同じ振り返りでも三好達治の「木兎」とはだいぶ違う。しんどい中でも、山口という帰る故郷があった中原中也と、ほぼ一家離散、父親失踪という環境で、帰る故郷は幻の中にしかなかった三好達治の感性がそれぞれの詩に表れているようでなかなか面白いです。おわり。 にほんブログ村 「三好達治のはなし」カテゴリの最新記事 タグ :#三好達治#中原中也 < 前の記事次の記事 > コメント コメントフォーム 名前 コメント 評価する リセット リセット 顔 星 投稿する 情報を記憶
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