人に歴史あり。音楽に譜面あり。合唱に歌詩あり。
男声合唱、特に多田武彦をこよなく愛するものによるブログです。
多田武彦(1930年‐2017年)は日本の作曲家で、男声合唱を中心として113もの組曲を世に生み出した作曲家です。
その作品は日本の近代詩を中心とした叙情的なアカペラが多く、歌いこんでいるうちに、近代詩への興味が深まってきました。
そこで本ブログでは、合唱曲に取り上げられた詩についていろいろ感じたままに書きつらねます。たまに脱線しますが基本的に歴史と音楽と文学の話です。歩みはゆっくりと。ね。

読み疲れた時に、 ほっと一息の時間。 我が家には 小5になる一人娘がいる。 趣味は読書と 多田武彦8割 バーバーショップハーモニー2割 での男声合唱鑑賞。 父「なんか趣味のバランスが よろしくないな。 誰のせいや?」 妻「あんたのせいや!」 娘「まあまあ ...

ドラマチックな詩とメロディーで満天の星空の下、大声で何かを叫びたくなる歌がある。ひとりなり。ひとりなり。「若しもかの星に」   百田宗治 もしもかの星に、 夜の空の遠い一つの星のなかに、 取残された一人の人間が居るならば、そしてもし彼がそこから吾々のこの世 ...

男声合唱組曲『雪と花火』『柳河風俗詩』からの通奏低音がずっと鳴っていると以前別の記事で書いた。その続き。長岡の花火を媒体として江戸の街に響きわたる。2015年8月初頭、義妹家族を訪ねて、新潟の長岡大花火大会を有料の桟敷席で鑑賞した。この花火大会は、1945年8月1日 ...

練習曲として、多田武彦の男声合唱組曲『ソネット集・二』から「夢みたものは…」を歌ったことがある。「夢みたものは…」    立原道造夢みたものは ひとつの幸福ねがつたものは ひとつの愛山なみのあちらにも しづかな村がある明るい日曜日の 青い空がある日傘をさ ...

いうまでもないが、男声合唱に親しむ者にとって一度は通る関門ではないだろうか。先人の様々な解釈や名演奏も多々あるので、もう語る余地はないかもしれぬが、自分なりの体験や参考資料を書き留めておきたい。特に多田武彦伝説のはじまり、第1曲目の「柳河」について。「柳河 ...

合唱という音楽を表現するために音をさらうのは当然です。がしかし、年がら年中、自宅で歌っていると家族の冷たい視線が眼に染みる。あるいは、夜更けにふと音楽に浸りたくなる。そんなときには、黙読で音楽を深める読書をすることにしています。勝手におすすめ本を列記して ...

近代詩のことを調べるには、やはり公共図書館が一番。身近な市町村図書館だけでなく、都道府県図書館や国立国会図書館などもある。意外なところに意外な資料が眠っていたりする。埼玉県桶川市にある駅西口図書館のティーンズコーナーにあった、近代詩人シリーズで「堀口大學 ...

最近、都内に出たついでに、立ち寄る処が上野にあります。東京文化会館4F音楽資料室です。 もうすごいのすごくないのって。すごいんです。もう。ここに古今東西のクラシックの音源と映像や譜面がたくさんあり、登録すれば視聴できます。(東京都民でなくても問題ありません ...

多田武彦作曲「わがふるき日のうた」の中の詩。三好達治の詩の中でももっとも有名なもののひとつで高校の国語の教科書にも頻出の詩、第1曲目「甃(いし)のうへ」にまつわる7つのポイント。(大学受験には出そうもないですが。)「甃のうへ」    三好達治あはれ花びらな ...

多田武彦が三好達治の詩にいきなり「ガッと」取り組んでほぼ同時期に書き上げた3つの組曲がある。『わがふるき日のうた』『海に寄せる歌』『追憶の窓』である。どれも素晴らしい出来なのだが、『追憶の窓』については、3曲目の「雨後」はアンコールピースとして有名であるも ...

「枕上口占」   三好達治私の詩は一つの着手であればいい私の家は毀れやすい家でいいひと日ひと日に 失はれるああこの旅の つれづれの私の詩は三日の間もてばいい昨日と今日と明日(あす)とただその片見であればいい(『艸千里』1939年7月)達治が小田原に転居したのは、 ...

多田武彦の作曲した『父のいる庭』(詩:津村信夫)『海に寄せる歌』(詩:三好達治)にも、娘が生まれた感慨を詠んだ詩がそれぞれ入っています。「早春」  津村信夫淺い春が好きだつた──死んだ父の口癖のそんな季節の訪れが私に近頃では早く來るひと月ばかり早く來る藪 ...

三好達治「わがふるき日のうた」に登場する「木兎(みみずく)」。同じモチーフながら詩人の個性がでる印象的な2つの詩を味わいました。「木兎」   三好達治木兎が鳴いてゐるああまた木兎が鳴いてゐる古い歌聽き慣れた昔の歌お前の歌を聽くために私は都にかへつてきたの ...

男声合唱組曲『尾崎喜八の詩から』を歌った。涙が出るほど心に染み入る曲であり演奏となった。そこで、少し調べたことをまとめてみた。男声合唱組曲『尾崎喜八の詩から』1「冬野」2「最後の雪に」3「春愁」4「天上沢」5「牧場」6「かけす」歌詞(詩)については、下記リンク ...

男声合唱組曲『父のいる庭』を歌いました。名曲でしたので、少し調べてみたのをまとめてみます。津村信夫と男声合唱組曲『父のいる庭』のこと。男声合唱組曲『父のいる庭』1「父が庭にいる歌」2「太郎」3「早春」 4「紀の国」作品の背景☆昭和17年11月20日発刊。全33編☆昭和 ...

そうか、君は只々タダタケだけだったっけ?その壱のつづき。 ●できれば、演奏の際にはここで少しでも「間」をあけてほしいですね。ハンカチで汗をぬぐうだけで、涙を拭いたと同じ効果があると思いませんか。聴衆も張りつめた息をはく「間」になりますね。「雪はふる」    ...

そうか、君は只々タダタケだけだったっけ?僕の男声合唱人生の中で、胸を打つ物語が、歌詞として取り上げられた近代詩の中にある。うたをうたうことの原点となるこれらのものは、つたなき僕の人生の中で、何度も僕の人生を救った。そしてこれからも救うだろう。今回Kさんとい ...

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